H14年7月発行のTFGニュースより抜粋してご紹介します。


 

 暑中御見舞申し上げます。

 実は、中小企業関連法規とも申すべき税務申告の書面添付制度が発展的に改正され、この4月より施行されております。昨春税理士法改正案が両院で可決確定されその中の重要改正点として新書面添付制度が誕生したものです。
書面添付制度とは、会計事務所が検証した事項を明らかにした書面を税務申告書に添付し、税務官庁はそれをうけて税務行政の簡素化につなげていくとの趣旨で古くからある制度です。
最近にTFG会員になられた経営者は私共のビジネスガイド等で又多くの会員経営者は既に私共が各位企業に適用し、実施して久しいのでその概略は先刻ご承知のことであります。
今回の改正は、書面添付の税務申告書を提出した納税者に対し通知して税務調査を実施しようとする場合、事前に関与税理士に意見を述べる機会を作らなければならないとするもので、そして意見聴取の結果、調査の全部又は一部の必要性が無いと認めた場合にはその様に対処すると理解されている。この意見聴取制度が追加され、法律レベルで明確に条文化(税理士法35条)されたという点で画期的なことだと考えております。

 斯かる延いては我国中小企業の総合力形成にも機能し貢献するとみられる法改正がマスメディアに殆ど取り上げられなかったと云う点は大変残念に思っております。どうやらその背景には書面添付の申告書の割合が0.6%(平成4年)という意外にも極めて低い状況下では、発展的な改正と云えども社会にアピールできなかったのではないかと思われる。要するに目立たぬ法改正であった。
斯様に全体的には低調(その理由は税理士側に現実的なメリットがなく添付書面に間違って記載すれば虚偽記載で重い罰則規定が適用される可能性があるからと一般雑誌「税理」に紹介されている)な状況のもとで私共はこの制度に永年に亘り取り組んでまいり今やその取扱い件数に於いてもお陰さまでトップクラスの実践レベルにございます。
 これが所以のものは「書面添付申告書提出の趣旨について」の趣意書にも記載しております様に、今後、成長発展し生き残っていく為には中小企業と云えども経営の健全性とか品性なるものが非常に大事になってきている。例えば租税意識に関してダ−ティな部分があるとか、どんぶり勘定で業績も掌握されていないとか、経理をきちっとディスクロージャーしないとかの事業体には金融機関等の支援者より明日も同じように支持が得られるとか又心ある従業員がいつ迄も居続くと思うほど甘い時代ではなくなってきております。こうした背景のもと私共としては微力乍ら各位企業の経営健全性確保を念じつつ月次のチェック、年次決算監査等そしてこの書面添付の実践に鋭意驀進してきた結果によるものと自負致しております。

 思うに税理士の企業への関与形態は現状、多種多様であり、一方官側が実地調査を行うかどうかは調査官が判断することであり、法上の質問検査権限の範囲内のことであって当然のことであります。調査官が意見聴取した後、調査項目の全部又は一部の省略をどう判定するかは税理士の関与形態により実は違ってくるのはごく自然のことです。同「税理」5月号に、記帳能力が低く殆ど帳票類を税理士が作成している様な場合(要するに丸抱え)書面添付の対象とすること自体に疑問がある。又申告書作成に要する書類はすべて企業側が作成したものをそのまま使う場合(要するに監査は未実施)意見聴取も申告調整に係る事項に限定され実地調査の全部又は一部が省略されることは期待されない。と云った記載があった。
 そもそも中小企業の場合、会計・税法等の専門能力とか内部統制システム等の具備状況からみて原理的には外部の専門家の監査をうけるべきものであると云われている。(その方がコストが安いというのが一般的考え方)
具体的にはTFGが実施致しております様に月次に監査をうけ是正すべきはその都度確実に是正していくという事を通じて初めて適正な決算書なり申告書が作成され、そして書面が添付され行政側からもそれなりに遇され、かつ金融機関からも一定の評価がなされる。
 さらに申し上げればPRくさくなりますがそれらを通じて月次の業績速報等が実現できそして税務的、財務的アドバイスで内部留保なり自己資本充実に心掛け以って経営の総合力培養を促進。これら一連の展開が私共TFGが推進致しております基本の形とも申すべきものでございます。

 斯かる方針をかねてより貫いております真の狙いはあく迄会員企業の総合力形成に寄与し、以て成長・発展を願うからに他なりません。さらに率直に申せば今後の諸情勢を思う時、私共が生き残り発展させて戴くには会員企業のこのサバイバル戦からの脱落を如何に食い止め、各位企業とともに如何に挑戦していくかに実は懸かっております。

 最後までお読み戴き有難うございました。末筆乍ら読者各位のご健勝とご清栄を心よりご祈願申し上げております。