中小企業の健全性支援マガジン(毎月1日発行)
2024年1月号 No.389
Ⅰ 書面添付制度
― 書面添付累計件数1万件突破へ! ―
TFG 代表 田中 洋子
新年あけましておめでとうございます。皆様にはご健勝にて新年をお迎えのこととご拝察申し上げます。旧年中は、何かとご厚誼を賜りまして誠にありがとうございます。厚く御礼申し上げます。
コロナも少し落ち着いてまいりましたがこれを境に、顧客のニーズ始め急激に変化が起き多種多様な課題に直面され、業績は回復基調にはあるものの、今一つコロナ前のような状態にまでは戻らない、先行きが見通せないと苦慮されている経営者様も多いのではないかと思います。
今年は、どうか皆様の思いが実り良い年になりますよう心よりご祈念申し上げます。
さて、TFGでは、この1月に書面添付の累計件数が1万件を突破する見込み(11月末現在9,965件)となりました。これもひとえに皆様方のおかげでございまして感謝申し上げます。
古くからお付き合いをいただいております関与先様はご承知を頂いていることかと思いますが、この機会に改めて書面添付制度とはどういう制度か、そしてなぜ私共では、この制度に昭和の時代から力を注いでいるのかを、お話しをさせて頂きたいと思います。
書面添付制度とは、税理士法の第33条の2に規定するもので、計算事項等を記載した書面を税理士が作成した場合、当該書面を申告書に添付して提出した者に対する調査において、納税者に税務調査の通知をあらかじめするときには、その通知前に、税務代理を行う税理士又は税理士法人に対して、添付された書面の記載事項について意見を述べる機会を与えなければならない(意見聴取制度:法第35条第1項)こととされているものであり、税理士の立場をより尊重し、税務執行の一層の円滑化・簡素化を図るための制度で、税理士に与えられた権利の一つです。
一般的には、書面添付=税務調査がなくなる?と第一義的には思われているふしがございますが、当然、意見陳述することで税務当局の疑義が解消され臨場するまででもないと判断されれば実地調査は省略されることとなり、省略する旨の通知書が送られてまいります。何もやましいことをしていなくても誰しも税務調査は嫌なものですので、調査が省略されれば、それはそれで納税者にとっては喜ばしいことかと思います。
唯、私共が独特の方針を貫き書面添付の件数に拘る真の狙いは、『関与先企業の発展が我が心の喜びであり、健全性支援実績No,1を目指す』TFGにとって、まさに、この制度がマッチしたからでございます。
書面添付は、斯かる微妙な意味合いをもつため、慎重に展開をしなければなりません。私共では、経営の舵をとる会計を後回しにはしてもらいたくないので、月に1回以上は、関与先様を訪問し、適時に会計帳簿が作成され適法に会計処理がされているかをチェック(監査)し、健全で適正な月次決算に基づく業績を翌月以内に速報して辞去するという体制(辞去後はデータに改ざんが出来ないよう外部機関から証明書を確保)を敷いております。書面添付を付けるか付けないかのTFGにおける選定基準の大前提となるものでございます。ですから、書面添付の件数が増えることは、それだけ翌月以内に関与先様に適正な業績を速報できているということにもなり、関与先様の成長、発展に寄与することとなり、TFGにとっても、『我が心の喜び』へと繋がってまいります。
また、この書面添付は、金融機関様から見ても重要な価値基準になることはいうまでもありません。最近では、経営者保証解除の判断基準の一つに、ある融資担当の方から書面添付の有無も条件の一つに加えようかと思案しているとお話しを伺いました。
更に、税務行政の円滑化・簡素化も図られることから、この制度は、関与先様、金融機関様、税務行政の三方よしになるものだと思います。また、私共税理士の立場も尊重されることもあってとても良い制度であると思っております。
ただ、残念ながら令和4年度の書面添付の添付割合は、法人税では10%(前年度9.8%で初の2桁)、所得税では、1.5%(前年度1.5%)となかなか増えておりません。やはり作成には手間もかかりますし、何か虚偽の記載等でもあれば税理士に罰則規定もございます。なかなか添付割合が上昇しないのはそういった背景もあるのかもしれません。
昨年11月の国税庁の発表によれば、2023年6月迄の1年間の、法人税の追徴税額は1,868億円で、2010年以降で最高となったようです。これは、税務調査もAIの活用を本格化させており、疑いのある法人を膨大な資料から割り出しているからで、今後もAIの学習量を増やして精度の向上を図るということのようです。書面添付には、増減のあった事項の理由も記載をすることとなっておりますので、勘定科目等毎の増減事由を税務当局に認識してもらうことで、たとえAIが割出したものであっても、書面添付が疑義の解消に役立つものと思っております。
今後も、堅苦しいことを申し上げることかと思いますが、どうぞよろしくお願いを申し上げます。
末筆になりますが、貴社に於かれては、今年も経営の健全性を維持しつつ更なるご発展をされますことを、スタッフ一同心より祈願致しております。
コロナも少し落ち着いてまいりましたがこれを境に、顧客のニーズ始め急激に変化が起き多種多様な課題に直面され、業績は回復基調にはあるものの、今一つコロナ前のような状態にまでは戻らない、先行きが見通せないと苦慮されている経営者様も多いのではないかと思います。
今年は、どうか皆様の思いが実り良い年になりますよう心よりご祈念申し上げます。
さて、TFGでは、この1月に書面添付の累計件数が1万件を突破する見込み(11月末現在9,965件)となりました。これもひとえに皆様方のおかげでございまして感謝申し上げます。
古くからお付き合いをいただいております関与先様はご承知を頂いていることかと思いますが、この機会に改めて書面添付制度とはどういう制度か、そしてなぜ私共では、この制度に昭和の時代から力を注いでいるのかを、お話しをさせて頂きたいと思います。
書面添付制度とは、税理士法の第33条の2に規定するもので、計算事項等を記載した書面を税理士が作成した場合、当該書面を申告書に添付して提出した者に対する調査において、納税者に税務調査の通知をあらかじめするときには、その通知前に、税務代理を行う税理士又は税理士法人に対して、添付された書面の記載事項について意見を述べる機会を与えなければならない(意見聴取制度:法第35条第1項)こととされているものであり、税理士の立場をより尊重し、税務執行の一層の円滑化・簡素化を図るための制度で、税理士に与えられた権利の一つです。
一般的には、書面添付=税務調査がなくなる?と第一義的には思われているふしがございますが、当然、意見陳述することで税務当局の疑義が解消され臨場するまででもないと判断されれば実地調査は省略されることとなり、省略する旨の通知書が送られてまいります。何もやましいことをしていなくても誰しも税務調査は嫌なものですので、調査が省略されれば、それはそれで納税者にとっては喜ばしいことかと思います。
唯、私共が独特の方針を貫き書面添付の件数に拘る真の狙いは、『関与先企業の発展が我が心の喜びであり、健全性支援実績No,1を目指す』TFGにとって、まさに、この制度がマッチしたからでございます。
書面添付は、斯かる微妙な意味合いをもつため、慎重に展開をしなければなりません。私共では、経営の舵をとる会計を後回しにはしてもらいたくないので、月に1回以上は、関与先様を訪問し、適時に会計帳簿が作成され適法に会計処理がされているかをチェック(監査)し、健全で適正な月次決算に基づく業績を翌月以内に速報して辞去するという体制(辞去後はデータに改ざんが出来ないよう外部機関から証明書を確保)を敷いております。書面添付を付けるか付けないかのTFGにおける選定基準の大前提となるものでございます。ですから、書面添付の件数が増えることは、それだけ翌月以内に関与先様に適正な業績を速報できているということにもなり、関与先様の成長、発展に寄与することとなり、TFGにとっても、『我が心の喜び』へと繋がってまいります。
また、この書面添付は、金融機関様から見ても重要な価値基準になることはいうまでもありません。最近では、経営者保証解除の判断基準の一つに、ある融資担当の方から書面添付の有無も条件の一つに加えようかと思案しているとお話しを伺いました。
更に、税務行政の円滑化・簡素化も図られることから、この制度は、関与先様、金融機関様、税務行政の三方よしになるものだと思います。また、私共税理士の立場も尊重されることもあってとても良い制度であると思っております。
ただ、残念ながら令和4年度の書面添付の添付割合は、法人税では10%(前年度9.8%で初の2桁)、所得税では、1.5%(前年度1.5%)となかなか増えておりません。やはり作成には手間もかかりますし、何か虚偽の記載等でもあれば税理士に罰則規定もございます。なかなか添付割合が上昇しないのはそういった背景もあるのかもしれません。
昨年11月の国税庁の発表によれば、2023年6月迄の1年間の、法人税の追徴税額は1,868億円で、2010年以降で最高となったようです。これは、税務調査もAIの活用を本格化させており、疑いのある法人を膨大な資料から割り出しているからで、今後もAIの学習量を増やして精度の向上を図るということのようです。書面添付には、増減のあった事項の理由も記載をすることとなっておりますので、勘定科目等毎の増減事由を税務当局に認識してもらうことで、たとえAIが割出したものであっても、書面添付が疑義の解消に役立つものと思っております。
今後も、堅苦しいことを申し上げることかと思いますが、どうぞよろしくお願いを申し上げます。
末筆になりますが、貴社に於かれては、今年も経営の健全性を維持しつつ更なるご発展をされますことを、スタッフ一同心より祈願致しております。
Ⅱ 電子取引データの保存は大丈夫ですか?
― 令和6(2024)年1月1日より完全義務化に ―
「電子取引データの保存」とは、正確には「電子取引に係る電磁的記録の保存義務」のことですが、これが規定されている法律は、電子帳簿保存法です。電子帳簿保存法を簡単に言えば、帳簿などの書類をデータで保存するルールを定めた法律です。電子帳簿保存法の創設は平成10(1998)年度の税制改正で、25年が経過しています。電子帳簿保存法を考えるとき、その内容は大きく4つに分類されるものと考えます。それは、国税関係帳簿のデータ保存、国税関係書類のデータ保存、国税関係書類のスキャナ保存制度、そして、当ニュースで掲載します「電子取引に係る電磁的記録の保存義務」です。
近年、特にコロナ禍以降、企業活動のあらゆる場面においてデジタル化を進め、デジタルトランスフォーメーション(DX)を求める動きが活発化しています。経理分野におきましてもこの動きは例外ではありません。しかし、この動きが最も遅れているのが経理分野ではないでしょうか。経理分野は、日本特有のハンコ文化や紙による業務推進、これらによる出社を前提とした勤務とデジタル化が進まない問題を最も多く抱えている典型的な業務だからです。今後も経理分野においては、業務のすべてにおいてデジタル化となることは難しいかもしれません。紙とデジタルの併用は残るかもしれません。しかし、経理業務のデジタル化に向けてのテクノロジーもかなり進んできています。経理業務も可能な限り、デジタル化やDXの動きに追随して業務の効率化や柔軟な働き方を促進することが必要と考えます。
近年、特にコロナ禍以降、企業活動のあらゆる場面においてデジタル化を進め、デジタルトランスフォーメーション(DX)を求める動きが活発化しています。経理分野におきましてもこの動きは例外ではありません。しかし、この動きが最も遅れているのが経理分野ではないでしょうか。経理分野は、日本特有のハンコ文化や紙による業務推進、これらによる出社を前提とした勤務とデジタル化が進まない問題を最も多く抱えている典型的な業務だからです。今後も経理分野においては、業務のすべてにおいてデジタル化となることは難しいかもしれません。紙とデジタルの併用は残るかもしれません。しかし、経理業務のデジタル化に向けてのテクノロジーもかなり進んできています。経理業務も可能な限り、デジタル化やDXの動きに追随して業務の効率化や柔軟な働き方を促進することが必要と考えます。
「電子取引に係る電磁的記録の保存義務」の宥恕措置
電子帳簿保存法は令和3(2021)年度に改正されて、令和4(2022)年1月1日以降は、「電子取引に係る電磁的記録の保存」が義務化されましたが、翌令和4(2022)年度の税制改正において、電子取引に係る電磁的記録への対応が困難な事業者の事情に配慮して書面等による保存を可能とする宥恕措置が令和5(2023)年12月31日まで設けられました。なお、令和5(2023)年度の税制改正では、令和6(2024)年1月1日以降も要件に従って電磁的記録の保存を行うためのシステム等や社内のワークフローの整備が間に合わない等、自社の責めに帰さないとは言い難いような事情を含め、税務署長がこれらの「相当の理由」があると認める場合には、環境が整うまで保存時に満たすべき要件に従った対応は不要としています。
電子取引に係る電磁的記録の保存義務者
電子取引に係る電磁的記録の保存義務者は、所得税(源泉徴収に係る所得税を除きます。)及び法人税に係る国税関係書類の保存義務者とされています。所得税法及び法人税法の規定により、取引に関して相手方から受け取った注文書、領収書等や相手方に対して交付したこれらの書類の写しの保存義務を負っている者が、電子取引に係る電磁的記録の保存義務を負うことになります。
電子取引に係る電磁的記録の保存場所及び保存期間
保存場所は、法人税法上の書類の保存と同様に納税地又は取引に係る事務所や事業所その他これらに準ずるものの所在地です。電磁的記録が納税地等以外の場所のサーバーに保存されていても、納税地等の電子計算機とサーバーが通信回線で接続されている等の場合は、問題ありません。
保存期間は、青色申告法人では、原則7年、欠損金が生じる事業年度では10年です。
保存期間は、青色申告法人では、原則7年、欠損金が生じる事業年度では10年です。
電子取引の範囲
電子取引とは、「取引情報(取引に関して受領し、又は交付する注文書、契約書、送り状、領収書、見積書その他これらに準ずる書類に通常記載される事項をいう。)の授受を電磁的方式により行う取引をいう。」と規定されています。取引情報が電磁的記録の授受で行われる取引は、通信手段を問わず全て該当します。具体的には、① EDI取引、② インターネットによる取引、③ 電子メールにより取引情報を授受する取引です。
EDI取引は、見積り、受発注、納品、請求及び支払等の商取引に関する情報を、企業間で通信回線を通じて電子的に交換する仕組みのことをいいます。インターネットによる取引は、その範囲は非常に広いものと想定されます。ホームページからダウンロードした請求書等のデータ、クレジットカードの利用明細データ、交通系ICカードによる支払データ、スマートフォンアプリによる決済データ、クラウド型電子契約サービスを利用した契約書の締結、タブレット端末を利用した契約の締結、等々です。電子メールにより取引情報を授受する取引は、電子メール本文に取引情報が記載されていれば、その電子メール本文の保存が、電子メール本文に取引情報が記載されておらず、添付ファイル(PDF等)により授受された場合には、その添付ファイルの保存が必要です。
これら以外で注意すべきことも若干、触れておきます。複合機等のファクシミリ機能を用いて電磁的記録により送受信し、書面で出力することなくその電磁的記録を保存する場合は、保存要件に従ってその電磁的記録の保存が必要です。e-Taxにおけるダイレクト納付により電子納税を行った場合に、納税者のメールボックスに格納される受信通知は、電子取引に該当しないので保存義務はありません。eLTAXについても同様の扱いになります。インターネットバンキングを利用した支払等は、その取引情報の正本が別途郵送されるなどの事情がない限り、EDI取引として電子取引に該当します。
電子取引に係る電磁的記録の保存要件
主に4つあります。1つ目は、真実性確保のための措置が必要で、それは次のいずれかです。① タイムスタンプが付与された取引情報を授受する、② 速やかに取引情報にタイムスタンプを付与する、③ 電子計算機処理システムは、訂正又は削除を行った事実及び内容の確認ができる、或いは訂正又は削除ができないかのいずれかの要件を満たしたものを利用する、④ 電磁的記録の正当な理由がない訂正及び削除の防止に関する事務処理規程を定める、です。2つ目は、可視性の確保、電磁的記録をディスプレイの画面及び書面に、整然とした形式及び明瞭な状態で、速やかに出力できることです。3つ目は、電子計算機処理システムの概要を記載した書類の備付けが必要です。4つ目は、検索機能の確保です。① 取引年月日その他の日付、取引金額及び取引先を検索条件に設定できる、② 日付又は取引金額に係る記録項目は、その範囲を指定して条件設定できる、③ 2つ以上の任意に記録項目を組み合わせて条件設定できる、等々が必要です。
電子取引のデータ保存の概要は、以上の通りです。皆様方におかれましては、避けては通れないものです。しかし、考えようによればDX化を進め、業務の効率化や働き方改革の好機です。さらに進めば、電子インボイスやデジタルインボイスへ繋げていく好機でもあります。なお、可能であれば「国税関係書類のスキャナ保存制度」の採用もお考え下さい。経理業務のDX化はかなり進むと思います。
電子取引のデータ保存の概要は、以上の通りです。皆様方におかれましては、避けては通れないものです。しかし、考えようによればDX化を進め、業務の効率化や働き方改革の好機です。さらに進めば、電子インボイスやデジタルインボイスへ繋げていく好機でもあります。なお、可能であれば「国税関係書類のスキャナ保存制度」の採用もお考え下さい。経理業務のDX化はかなり進むと思います。
Ⅲ 労働保険関係の改正点
― 2024年(令和6)年4月1日施行 ー
時間外労働の上限規制の適用猶予・業務への適用(猶予措置の終了)
労働基準法の定める法定労働時間(1日8時間・1週40時間)を超えて働くことを「法定時間外労働」と言います。法定時間外労働は、36(さぶろく)協定を締結し、所轄労働基準監督署へ届出ることにより、原則月45時間以内・年360時間以内を上限として行うことが認められます。ただし、当該事業場における通常予見することのできない業務量の大幅な増加等に伴い臨時的に「限度時間」を超えて月100時間未満(休日労働を含む)、2~6カ月平均で80時間以内(休日労働を含む)、年720時間以内(休日労働を含まない。月45時間を超えることができるのは、1年のうち6カ月以内)を上限に働くことができます。
今回2024年(令和6)年4月1日以降は5年間猶予されていた時間外労働の上限規制が建設の事業(災害の復旧・復興の事業を除く)、自動車運転の業務、医業に従事する医師、鹿児島県・沖縄県における砂糖製造業について適用されることとなり(一部業種で内容の一部が適用されない事項もあります。)厳格な適用が今後は求められますので注意が必要です。
今回2024年(令和6)年4月1日以降は5年間猶予されていた時間外労働の上限規制が建設の事業(災害の復旧・復興の事業を除く)、自動車運転の業務、医業に従事する医師、鹿児島県・沖縄県における砂糖製造業について適用されることとなり(一部業種で内容の一部が適用されない事項もあります。)厳格な適用が今後は求められますので注意が必要です。
労働条件の明示ルールの見直し
労働条件を明示していないと契約内容が双方で曖昧になる可能性があり、後にトラブルとなる可能性の発生が否めません。そこで労働基準法では企業に対して労働条件の明示義務が定められており明示すべき労働条件には、法律上必ず明示しなければならない事項(絶対的明示事項)と企業の定めがある場合に明示しなければならない事項(相対的明示事項)があります。今回2024年(令和6)年4月1日以降は次の4点が絶対的明示事項として追加されますので確認、周知が必要です。
明示のタイミング | 改正による追加の明示事項 |
全ての労働契約の締結時 有期労働契約の更新時 | 就業場所・業務の変更の範囲 (変更の範囲とは将来の配置転換などで変わり得る就業場所・業務の範囲) |
有期労働契約の締結時と更新時 | 更新上限(有期労働契約の通算契約期間または更新回数の上限)の有無と内容 |
無期転換ルール(※)に基づく無期転換申込権が発生する契約の更新時 | ・無期転換申込みに関する事項(無期転換申込機会) ・無期転換後の労働条件 |
※同一の使用者との間で、有期労働契約が通算5年を超えるときは、労働者の申込みにより、期間の定めのない労働契約(無期労働契約)に転換する制度です。
新たな化学物質規制
今般、国内で輸入、製造、使用されている化学物質は数万種類にのぼり、その中には、危険性や有害性が不明な物資が多く含まれており、労働安全衛生法やこれに基づく政令・省令などの規制の対象となっていない物質に起因する労働災害も増加してきています。そこで労働安全衛生法施行令、労働安全衛生規制などの大幅な改正が行われ、主要な改正が2024年(令和6)年4月1日から施行されることになり扱い並びに選任事項がありますので確認が必要です。
1.化学物質管理者の選任
事業者は危険性又は有害性等の調査(主として一般消費者の生活の用に供される製品に係るものを除く。以下「リスクアセスメント」という)をしなければならない通知対象物(リスクアセスメント対象物)を製造し、又は取り扱う事業場ごとに「化学物質管理者」を選任し、その者に化学物質の管理に係る技術的事項を管理させなければなりません。また、リスクアセスメント対象物の譲渡または提供を行う事業場ごとに化学物質管理者を選任し、その者に当該事業場におけるラベル表示及び安全データシート(SDS)等による通知等並びに教育管理に係る技術的事項を管理させなければなりません。
2.保護具着用管理責任者の選任
化学物質管理者を選任した事業者は、リスクアセスメントの結果に基づく措置として、労働者に保護具を使用させるときは、保護具着用管理責任者を選任し、有効な保護具の選択、保護具の保守管理その他保護具に係る業務を担当させなければなりません。
3.リスクアセスメントの結果に基づき事業者が行う健康診断、その結果に基づく必要な措置の実施
事業者は、リスクアセスメントの結果に基づき、関係労働者の意見を聴き、必要があると認めるときは、医師又は歯科医師が必要と認める項目について、医師等による健康診断を行い、その結果に基づき必要な措置を講じなければなりません。また、一定の業務に従事する労働者が、濃度基準値を超えてリスクアセスメント対象物にばく露したおそれがあるときは、速やかに、医師等が必要と認める項目について、医師等による健康診断(「リスクアセスメント対象物健康診断」)を行い、その結果に基づき必要な措置を講じなければなりません。
今月のブックマーク
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ものづくり・商業・サービス補助金のご案内
雇用の多くを占める中小企業の生産性向上、持続的な賃上げに向けて、新製品・サービスの開発や生産プロセス等に省力化に必要な設備投資等を支援する制度です。
支援枠・類型の概要
| 省 力 化 (オーダーメイド)枠 | 製品・サービス 高付加価値化枠 | グローバル枠 | |
通常類型 | 成長分野 進出類型 (DX・GX) | |||
要 件 | 省力化への投資 | 製品・サービスの高付加価値化 | DXやGXに資するもの | 海外事業の拡大・強化に資するもの |
補助上限 | 750万~8000万 | 750万円~1,250万円 | 1,000万円~2,500万円 | 3,000万円 |
補助率 | 1/2 ※小規模・再生事業者2/3 ※1,500万円までは1/2、 1,500万円を超える部分は1/3 | 1/2 ※小規模・再生事業者2/3 ※新型コロナ加速化特例2/3 | 2/3
| 1/2 ※小規模2/3 |
対象経費 | <全枠・類型共通>機械装置・システム構築費(必須)、運搬費、技術導入費、知的財産権等関連経費、外注費、専門家経費、クラウドサービス利用料、原材料費 <グローバル枠のみ>海外旅費、通訳、翻訳費、広告宣伝、販売促進費も利用可能 |
大幅な賃上げに取り組む事業者への支援
補助事業終了後、3~5年で大幅な賃上げに取り組む事業者に対し、100万円~2,000万円を 上記各枠の補助上限に上乗せ(申請枠・類型、従業員規模によって異なる、新型コロナ加速化特例適用事業者を除く)
TFGでは経営管理システムの一環として国際基準のISOにも従来より取り組んでおり、また経営計画策定や事業承継、相続対策等に関する支援等についてのコンサルティング業務、中小M&Aなどご遠慮なくご連絡ご相談下さいませ! TFGでは現在、時差出勤及びテレワークを限定的に実施しております。ご不便をおかけすることがあるかもしれませんがご理解賜わりますようよろしくお願い申し上げます。 |
健全性支援実績No.1を目指す!
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TEL:(06)6538-0872(代表) FAX:(06)6538-0896
編集委員長 藤本 清
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